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アルベルトのギター
    
「おっちゃん1曲頼むわ〜」
南国の突き刺す陽射しのせいか、それとも飲み慣れないラム酒の酔いか?
バーの奥で一杯ひっかけている男に何故かインチキ関西弁で話しかけた。

“カリブ海の真珠”  キューバ!
純白のシャツとパナマ帽できめた男は最後のひと口を飲み干すと、
椅子の背に立てた年代物のギターを抱え古いルンバをつま弾き始めた。

店の奥ではヘミングウェイが美女を口説き、
カウンターではゲバラが仲間たちと何やら議論している。
男の演奏なんか誰ひとり見向きもせず、皆思い思いにその瞬間を楽しんでいるようだ。

グラスの音と話し声、通りを走り抜けるヴィンテージ バイク。
ここ“音楽の楽園”では街の雑踏さえもどこか音楽的。

周囲になんぞお構いなしと男の指先はますます滑らかに
ルンバからボレロ、ボレロからサンバ、
そして「As Time Goes By」へと流れてゆく。

入れ墨の大男が隣に腰掛けると、何やらまくしたてながら葉巻を差し出してきた。
スーハー、スーハーと初めての葉巻に四苦八苦する姿を見ては
「おまえ葉巻も吸えないのか?」と大笑いしている。

ラム酒と葉巻の煙、
大男の笑い声と「As Time Goes By」のメロディが
グルングルンと回り始めて、次第に意識が遠のいて行く。。。

ふと目を覚ますと、
いつもの公園のハンモックの上で
初夏の風に揺られていた。

広場では犬が走り回り、
青空に張りついた凧がヒラヒラと踊っている。
僕は重い体を起こし地上に降り立つと、
木漏れ日の中で
もう一本ビールを開けた。

Alberto López Padrón / Feelin Mood Guitar 

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